2020.09.29 | 地縁マルシェ
3世代に渡って愛され続ける地元の名店
瀬戸内海の島々が見渡せる造船の町、広島県福山市沼隈町常石。
この土地で60年以上に渡り地域に愛され続けてきた「仕出し・弁当たかの」というお弁当屋さんがある。
調査隊が訪問した当日も、お弁当を求めせわしなく人が訪れていた。
老舗感が漂う「仕出し・弁当たかの」佇まい
笑顔で出迎えてくれたのは、仕出し・弁当たかの(有限会社たかの)専務取締役の髙野憲治さん。
創業者の髙野江美子さんの孫にあたる憲治さんは、この町で育ち、同店の歴史を一番近くで見てきた人物だ。
大らかな笑顔と人情味溢れる温かい人柄ですぐに打ち解けることができた。
仕出し・弁当たかの専務取締役 髙野 憲治さん
取材/地縁マルシェ調査隊 羽原 裕二
ビンゴソースのルーツに迫る
調査隊:
「ビンゴソースってお弁屋さんが作っているソースだったんですね。知らなかったです。」
髙野さん:
「実はこのソースは1959年に祖母がこの地にオープンさせた「たかの食堂」の人気商品だったサバの竜田揚げに使われていたタレがもとになってるんですよ。」
調査隊:
「え!そんなに古くからですか。じゃあもう60年以上経ってるじゃないですか!」
髙野さん:
「1989年に父が食堂から仕出し・お弁当の業態に変更したのですが、このタレを使ったサバの竜田揚げはお弁当のおかずとして相変わらずの人気が続いていました。
僕にとってこのタレは食堂時代からずーっと使われていて、当たり前の存在で最初は気が付かなかったのですが、ある時このタレが備後地区の食文化に合う味付けだなって気がついたんです。
そうであれば地域の皆さんに「家庭の味」として喜んでもらえるんじゃないかなと思い、父と試行錯誤してビンゴソースとして2014年に発売しました。」
調査隊:
「す、すごい。髙野家三世代の力作なんですね。」
髙野さん:
「あともちろん、僕が育ってきたこの地域のお土産にしたい!って想いもありました。ビンゴソースを食べてもらってこの地域のことを知ってもらいたいなって!」
子どもの好き嫌いが無くなるソース!?
調査隊:
「実は僕も冷蔵庫にビンゴソースを常備してるんですよ!」
髙野さん:
「ほんとですか?ありがとうございます!!」
調査隊:
「ほんとに重宝してますよ。大人も子どもも病みつきです。中毒性がありますよね。(笑)」
髙野さん:
「実はこのソースは福山市の学校給食にも使ってもらってるんですよ!」
調査隊:
「え!すごい!」
髙野さん:
「道の駅で販売してもらってる時に、偶然給食のおばちゃんがこのソースを買って美味しいって言ってくれて、地元の学校給食に使ってもらえることになったんです。
そしたらこれが大好評で!今では福山市全域の学校給食に拡がってるんですよ!
子どもたちは魚が苦手な子が多いらしいんですが、ビンゴソースを使ったらお残し率が大幅に減ったって聞いてます。」
調査隊:
「ビンゴソースを使って好き嫌いが無くなるなんて・・・。魔法のような万能ソースなんですね!」
他のソースと何がちがうのか?
髙野さん:
「広島のご当地ソースっていうと、お好み焼きのソースのようなドロッとしたものだって印象を持たれる方が多いんですが、うちのソースはサラッとしたウスタータイプのソースです。」
調査隊:
「他のウスターソースと決定的なの違いって何なんですか?」
髙野さん:
「うちのソースは甘口でまろやかな酸味とスパイスの香り高さが特徴です。この地域の口にあう味付けだって自信を持って言えます!」
調査隊:
「通常のビンゴソースの他にも、ラインナップがありますよね。」
髙野さん:
「【ビンゴソース旨辛】っていう商品も開発したんですけど、これは口に入れた5秒後に辛さがやってくる不思議なソースです。正直結構辛いんですけど、ベースが甘口のビンゴ―スなので、うま味を感じた後に奥深い辛さが感じられるように仕上げています。辛党の方にも満足してもらえる仕上がりですよ。
あともう一つが【ビンゴソース特選】。これは健康志向な方向けに無添加で作っていて通常品よりも更にまろやかで上品な味わいに仕上げています。」
調査隊:
「3種類全部試しましたが個人的には【ビンゴソース旨辛】が1番好きですね!オトナの味付けで病みつきです!」
髙野さん:
「あとソースではないんですが【ビンゴポンズ】という商品もあります。これはポン酢の常識を覆すような新感覚の濃厚な薬味ポン酢です。薬味が効いていて濃厚なので魚の刺身やローストビーフなどに是非使ってもらいたいです。」
地元に馳せる思い
髙野さん:
「ビンゴソースを2014年発売が僕にとって大きなチャレンジだったんですが、このおかげで自分自身も成長することが出来たんです。地域の色んな方と出会うことが出来ましたし、何よりこの仕事が心から楽しいって思えるきっかけにもなったんです。
ビンゴソースの納品中に『アンタが作っとるんか?美味しいけぇいつも使っとるんよ!』って声をかけていただくこともメチャクチャ嬉しいんですよ!『アンタのおばあちゃんにお世話になったんよ~!』と声をかけていただくこともあります。(笑)」
調査隊:
「仕出したかののお弁当とビンゴソース!地域に愛されてますね~!」
髙野さん:
「ありがたいことに喜んでいただけてます(照)。でも本当に地域には感謝しています。だからもっとこの地域に恩返ししたいって気持ちも強くあって。
実はいつか祖母のやっていた【たかの食堂】を復活させてやろうって思ってるんです。」
調査隊:
「えぇぇ!そうなんですか!」
髙野さん:
「僕が育ってきたこの地域も昔は今より賑わいがあったんです。たかの食堂を作ることであの時の賑わいを復活させたいんです。
小さいお子さんからおじいちゃんおばあちゃんまでが家族のように集える食堂が理想です。」
調査隊:
「是非この夢実現させてください!この地域の方も望まれているはずです!」
髙野さん:
「はい、必ず実現させます。
“子どもの笑い声がいつも聞こえてくる”
“『ただいま~!』って都会の大学に進学した学生が休みの日に帰ってくる”。
そんな食堂にします!」
同店の店内に飾られているイラスト そこには髙野さんの夢が描かれている。
ビンゴソースが買えるエブリイのお店
【福山市】蔵王店、御幸店、緑町店、松永店、新市店、瀬戸店、駅家店
【尾道市】向島店
【府中市】府中店
【岡山市】津高店
(2020年9月8日)